『彼のオートバイ、彼女の島』から『万年筆インク紙』へ(その1)[色彩雫][松露]
万年筆のインクで、注文してあった色彩雫の「松露」は届いていたのに、いまだに書くことが出来ないでいた。松露インクは・・・・・・・などと他人に影響を受けやすい質なので本を読んだりするといつものような書き方ができなくなってしまいます。昨日、カクノ万年筆のコンバーターが届いたので予め用意してあったインクの色彩雫「松露」を入れて試してみようと思っています。松露は冬柿や天色と同じく色彩雫のインクの小瓶3本セットのひとつで緑色のインクも欲しかったので書ける日を心待ちしていました。松露は松の露と書きますがどうやらキノコの事らしくどんな色なのか興味津々です。キノコの松露は現在ではほとんど採取が困難な貴重なキノコだという事です。そしてキノコの松露は何故か赤いらしい。
インクの事でWebで調べていたら『万年筆インク紙』という本が引っかかりました。今調べようとしているインクと紙の相性について参考になりそうなので開いてみると、著者に片岡義男と名前がありました。片岡義男、たぶんあの片岡義男だよなぁ、文章書いてるバイクの、読んだことがあるあの片岡義男だな。さっそくKindleで「万年筆インク紙」のはじめの章を読んでみたら間違いなくカワサキのW3の事をキザに書いたあのエッセイスト?(小説家)の片岡義男の文章でした。バイクの650RS・W3が万年筆のパーカー21。。。。。まぁ文章を読めば納得も出来ました。で、この本については別の機会にしますが万年筆に興味を持ってから読む片岡義男はチョット尊敬出来たりします。
松露ですが青い化粧箱に他の2本と一緒に行儀よく収まっています。天色は瓶から透かしてみても綺麗な水色が見てとれるし冬柿は茶色に近い赤色つまり濃い目の橙色が確認できます。しかし怪しい松露はどう見ても青色、藍色にしか見えません。ネーミングからすると冷たい松葉につたう水滴なので濃い緑色を連想しますがどう見たって濃い青色です。溢さないように慎重に蓋を開けます。そして事前にコンバーターをセットしてあるカクノ万年筆のペン先を十分に瓶の口から差し込んでコンバーターの軸をゆっくりと左に回してコンバーターの中の空気を抜いて続いて今度は右に回してインクを吸い上げます。3回くらいこれを繰り返すとコンバーターに3分の2ほどインクが吸入出来ます。(何故かしら満タンにならない)いよいよ試しに書いてみます。紙はロルバーンにしました。カクノ万年筆に収まった松露がFサイズのニブをつたわって紙面に跡を残します。書き心地はとても良いです。滑らかで先日のプレピーに冬柿を使って書いた時よりもそれ以上に滑らかでインクフローもカスタム74ほど潤沢でもなくヌルヌルよりもサラヌルです。カクノ+色彩雫のコンビネーションは完璧です。細めのボールペンや古典インクを入れたプレピーで書いた時のカスレや引っかかりは全くありません。何度か重ね書きすると若干裏移りしますが普通に支障のない程度です。
さて問題の色ですが、松露は何とも不思議な色で書いた時にはブルーブラックインクで書いたように暗くて濃い紺色なのですがほんの1分もして乾いてくると徐々に緑色に変化していくのです。嘘だろう、と思うくらいに変化します。今回はロルバーンのクリーム色の紙に書いたのでハッキリしませんが白い紙に書くとよく分かります。とても気に入ったのでメインで使いたいくらいです。
カワサキのオートバイにまたがって、ぼくはにぎりめしを食べていた。
『彼のオートバイ、彼女の島』は青空文庫で読めますが『万年筆インク紙』はまだ公開されていないのでkindle本で読めます。しかし、せっかくなので手元においておきたい気もします。もうバイクは降りてしまいましたが『彼のオートバイ、彼女の島』は懐かしいのでもういっかい読み直してみます。こういうかたちでまた片岡義男に再会するとは思っても見なかったのですが『万年筆インク紙』でまた会ってきます。うるさいくらいの講釈が書いてあるのを楽しみに。
See you tomorrow!