 色彩雫の天色をプレピー万年筆のMで書いて紺碧と色をくらべた[カクノ万年筆][色彩雫]

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 天色、と書いて「あまいろ」と読ませる。あまいろと聞いてどんな色を思い浮かべるだろう。そもそも天色は「てんしょく」と読む。空模様、天気とか要するに空の色という意味だ。あえてあまいろとふりがながある。いい響きだ。どんな色だろう?その呼び名に自然と興味が湧き想像してみる。あまいろ。。。甘い色かも知れないし天高く澄みきった空の色のことか?気になって仕方がなくなる。そしていつしか万年筆に入って書斎の机にある。
 色彩雫天色は色彩雫3本セットのシリーズCタイプにセットされていた。セットの中の冬柿という橙色のインクが欲しかったのだがセットなので他の色も付いてきた。一応はセットされているインクの色も下調べして納得いった上での購入だ。冬柿以外のインクは松露と天色だった。松露は緑色でボールペンの時もオレンジ色とグリーン色は対で揃えていたので同じ様に欲しかった。青色系の天色は微妙な立場だ。青色は必須色なので月夜と紺碧がすでに存在している。なので冬柿と松露はそれぞれ専用にプレピーとカクノをコンバーター付きで与えたが天色は溢れた。
 さて天色は3本セットが届いた時に他の瓶と同じ様に確認はしていた。他の松露や冬柿の瓶と同じで50mm入りの小さな瓶だ。通常の色彩雫は150mm入りで提供されているため瓶ももっと大きくて中のインクの色も透かして確認しやすい。しかし50mmの小さな瓶では透かしても本当の色を知ることが難しい。冬柿も松露もコンバーターに小分けして実際に書いてみて初めて本当の色と対面出来たわけだ。まずは天色を入れるペンがない、コンバーターもない。よく万年筆のインクをあれこれ試してみたかったらコンバーターが便利だと聞く。しかしインクの色を変更する度にコンバーターの中身を水洗いして空にして、それでもインクが万年筆内部に残るのでそのままコップの水につけて朝まで放っておいて残ったインクを残さない様に吐き出させる。そしてようやく、半日日陰で乾燥させる、という作業が必要になる。インクの色を変えるだけでこれだけの時間と労力が必要となる。いくら楽しみとは言ってもインクの注入作業が不得意なので遠慮したい。
 天色は当分出番が来ないだろうと決めていた。これ以上、万年筆を(いくら1000円以下の万年筆でも)増やしても使わなければインクが詰まったりペン先が錆びてしまう。またの機会にとっておくつもりだった。しかしそこはそれインクの沼に片足だけハマりそうになって靴を置いてきてしまった身なので靴を取りに行かなくちゃいけない。そこで唯一コンバーターの装着してないプレピーにこの際、今後のためにとコンバーターを用意しておいてやる事にした。
 そして昨日、コンバーターが届いた。冬柿のために買ったプレピーと同じプラチナ万年筆のコンバーター-500だ。実をいうとプレピーが300円でこのコンバーターが500円くらいした。さっそくカートリッジインクを外してきれいに水洗いしてあったプレピーに届いたコンバーターを差し込んで(プレピー2本目なので楽勝)買ってあった天色の小瓶を取り出して瓶の口元からプレピーのペン先をゆっくりインクの中にたっぷりと浸けた。いつもと同じ様に左に回してコンバーター内の空気を吐き出して右に回してインクを吸わせた。2、3回繰り返して、今回は満タン近くまで吸入出来た。
 さてこの従来からあったプレピーだがニブはMの中字で鉄のニブの割には万年筆らしいヌルヌルした書き心地だった。しかしどんな紙に書いても書き始めや一旦筆が止まったりしてまた書き始めたり少し速めにペン先を移動したりすると決まってカスレる。何度やっても同じだったが冬柿を入れたプレピーはかすれることがほとんどなかった。だから今回もプラチナ万年筆にパイロットのインクを入れたのでかなり期待した。そしてcampusノートに書いてみた。
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 Mニブとはいえ所詮300円の万年筆だ。下品な太さだがカスレる事もなく紙とペンの間に滑りやすいインクの層が出来たかのように滑らかに天色が落とされていく。今回も正解だったと、ひとりで微笑んだ。ペンが頭で考えるとおりに途切れることなく紙の上を動きまわる。良かった、と安心して緊張していた肩が一気に楽になった。
 天色は子供のような無垢な水色だった。紺碧とよく似た青色だとばっかり思っていたが違った。紺碧は月夜の青色と比べたら随分、冒険した明るい青色だったが天色は青色とは呼べない青だ、水色なのだ。同じ空の色を連想させる紺碧の青さは紺色を混ぜた深い青色だが天色の空色はもっと高い深みよりも高さを感じる青色だった。紺碧ならばちょっと勇気を出して仕事にも使えそうだが天色はポップすぎて遠慮する。しかし書いていて気分が高まりウキウキした気分になる。そんな軽くて彩度が高くペンが弾むような色だ。紺碧は大好きな色だが天色も嫌いじゃない、紺碧は真面目でまだまだ硬いが天色には優しさがある。天色はそんな空色だ。
 まとめ
 結果的には良かった。色彩雫のセット3本がすべて万年筆に入っていつでも書き心地や色の変化を楽しめる。それも色彩雫シリーズだけでも24種類ものバリエーションが有る。考え方によってはチープで贅沢な 楽しみかもしれない。
See you tomorrow!

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