 風刺画家バンクシーのブロンズ像を倒す人たちの絵と人種差別

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https://www.instagram.com/p/CBNmTVZsDKS/
 ここに1枚の絵がある。あのバンクシーの絵だ。
アメリカで起こった警官による黒人男性殺害事件は白昼に起こった。警官が黒人男性を手錠しうつ伏せにさせて首を後ろから膝で8分46秒の間抑え続け殺害したという事件だ。この一部始終を撮影していた17歳の少女がSNSに投稿したことによって事件が世界中に広まった。最初のうちは平和的なデモであったが、時期的にコロナで職を失ったりして生活が不安定になっている市民はどんどんエスカレートし警官と衝突したり商店の略奪をした。
 これに対してトランプ大統領は事件の警官の対応を批判することもなくデモ隊の主張には耳をかさずに、ただ一方的にデモの鎮圧にあたった。
 北アメリカにアフリカからの黒人が初めて連行されたのは、今から401年前になる。それ以後、約250年にわたって奴隷制が続いた。奴隷解放後も黒人差別はなくならず、黒人の人権を認め、差別を撤廃する公民権法が制定されたのは1964年のことだ。その後も差別は続き、毎年、多くの黒人が警官や銃を持つ一般市民に殺害され続けている。黒人たちは今もこうした直接的な差別行為に苦しめられているが、同時に差別には見えにくいために解消するのが難しい異なる種類の差別「制度的人種差別」がある。制度的人種差別とは、社会的弱者が不利となる仕組みが社会構造に取り込まれており、黒人が黒人として生まれただけで、以後の人生が自動的に不利の連続となることを指す。 これらの長い歴史的な背景があって今回のような事件は後を絶たない。
 さてバンクシーの絵だがInstagramバンクシーが投稿した作品である。一見したところ誰かの銅像をロープで台座から降ろそうとしている人たちの絵だ。これだけでは意味がわからないのだが添えられたバンクシー自身のコメントに

ブリストルの真ん中にある空の台座をどうすればいいですか? コルストン像を見逃した人と見逃していない人の両方に対応するアイデアは次のとおりです。 コルストン像を海から引きずり出し台座に戻し、ケーブルを首に巻き、コルストン像を引きずり降ろすデモ参加者の等身大のブロンズ像を作ればいい。 みんなが幸せな記念日として。

 ここでまたキーワードがひとつ。コルストンとは誰なのかだが。バンクシーの絵に描かれた銅像は17世紀のイギリスの商人エドワード・コルストンだ。貿易会社「王立アフリカ会社」の一員として約8万人の黒人男女や子供をアフリカ大陸からアメリカ大陸に奴隷として送り込んだとされている奴隷貿易で巨額の資産を手にした男だ。その資産を元にブリストルやロンドンなどに学校、病院、教会などを支援し慈善事業に寄付をした。その功績を記念して建てられたブロンズ像なのだ。その像を今回の人種差別に反対するデモがイギリスまで波及してその市民たちが黒人の人権問題を引き起こした張本人のコルストンの像を引き倒して海に沈めてしまったのだ。
 はたしてバンクシーのアイデアが意味するところは何なのだろう。かつては奴隷貿易で国に富をもたらした白人商人のブロンズ像を今、現代に生きる白人自身が皆で引きずり降ろそうとしている様子の等身大のブロンズ像を作る意味は?人種差別は白人自身の問題だぞ白人自身でこんなもの倒さなければならないことに気付けと言っているのか、コルストンはこんなブロンズ像を建てて敬う人物ではない事に白人がやっと気がついて像を撤去する記念の日の像を作れと言っているのか。
  こうした欧米の人種差別の事件を知る度に、単一民族の日本人で良かったと思ってしまう。しかし、よく考えてみると日本人も同じような事をして来ているんじゃあないかしらん、国内外で、とも思える節もある。人種差別って肌の色が違う、言葉が違うそれだけなのか?そんな事は同じでも差別はあるよ。人が集まれば多数派と少数派が出来る。単純に多数派の勝ちだ、民主主義だから、それが。そういう社会だから長いものに巻かれて生きる。嫌でもね。そうしないとイジメられる。イジメられて死んじゃう人もいる、子供でも大人でも、これって大きな意味で人種差別なんじゃぁないのか?
バンクシーに日本のイジメを風刺して描いてもらいたい。
See you tomorrow!
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