 万年筆カスタム74のMニブを手に入れるまでのプレピー Mニブの役目

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カスタム74のMニブを手に入れるまで

カクノ万年筆
 いつだったか1,000円の万年筆、パイロット万年筆カクノの存在に驚いた。気軽に買える値段なのですぐに飛びついた。今思えばこの一本が万年筆ライフの始まりだった。万年筆を使い始めるとすぐに他の万年筆やインクの色そしてペンケースなどが気になり始める。カクノ万年筆も使ってみれば立派な万年筆だ。すぐに高価な万年筆を買うほどには万年筆に惚れ込んでもいなかったので簡単なカスタマイズでインクの種類と色を変えてみた。カクノにはブラックインクのカートリッジが付属していた。ボールペンを使っている頃から芯をブルーブラックのものに交換して使っていたのでカクノにもそうしたかった。だからブルーブラックのカートリッジに交換した。
色彩雫「月夜」
 ネットで万年筆の記事をみているとカクノと同じパイロット社のインクに色彩雫シリーズがあって独特のインクを楽しめる事を知った。別のインクを試すにはコンバーターというインク吸入器が必要だった。パイロットのcon-40を揃えた。インクは好きなブルーブラックに近くて色彩雫の中では一番人気の「月夜」を頼んだ。インクとコンバーターが届いて初のコンバーターの万年筆への取り付けとインク吸入作業に取り組んだ。事前にメーカーが提供する動画やネットの記事などで方法は研究済みなので準備は完璧だった。大きなミスはなく無事、カクノ万年筆の「月夜」で文字を書くことが出来た。が左右の指は少し黄色を混ぜて優しくなった紺色で染まっていた。
金ペン
 何度か「月夜」の吸入を繰り返したカクノ万年筆にも慣れてきてペン先が金色の万年筆も試してみたくなって来た。贅沢だとは思ったがカクノ万年筆が10本買えるパイロットのカスタム74とcon-40よりたくさんのインクが入るコンバーターcon-70を揃えた。同じ「月夜」を入れて書いてみたがこんなものかというくらいの書き心地だった。何ヶ月かはカクノとカスタム74の両方をかわるがわる使っていた。が、片岡義男のエッセイを読んで感銘を受けた。万年筆はなるべく筆圧の必要のないものを選ぶべきで最低でも中字のニブが良いと悟ってMニブの万年筆を探した。片岡義男が好んで使っている同じカスタム74シリーズを使っている事に親しみを感じつつもカスタム743や742はプロ仕様で身に余る筆記具だと断念して74のMニブが欲しくなった。しかし既にカスタム74万年筆はFニブがあるので一旦諦めた。
プレピーの中字
 諦めたMニブに対する関心は尽きる事がなかった。使い道や使うノートの選定をするためのお試し万年筆を用意した。それがプラチナ万年筆プレピーだった。プレピーのMニブは0.5の中字として売られていて300円だった。どうせ試し書きなので、すぐに捨てても大丈夫な万年筆にした。今回は、はじめからブルーブラックの入ったスケルトンのブルーの中字を買った。せっかく万年筆で書くのに細字、Fニブで書く心地はボールペンとほとんど変わらず残念な気持ちで使っていたので中字、Mニブの筆圧要らずの書き心地にたいそう期待した。しかし思ったような書き心地は得られなかった。Fがほんの少しだけ太くなったがカリカリした書き心地は変わらなかった。慌ててカスタム74のMニブを買わなくて良かったと安心した。が、少し疑問は残った。それはプレピーに付属しているインクカートリッジのブルーブラックは古典インクで一般的では無いインクだという事だ。これはインクを変えてみたら書き心地は変化するかも知れない、そう思った。

tomi-kun.hatenablog.com

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色彩雫の「天色」と決意
 300円のプレピーに500円のプラチナ万年筆のコンバーター500を用意した。インクは前からあった色彩雫の「天色」だ。プラチナ万年筆のコンバーター500もパイロットのcon-40と同じ回転式コンバーターで要領は同じだ。「天色」は15mlの小瓶なので安定性がないので注意して吸入した。「天色」を使うのは初めてだった。無事吸入が済んで書いてみた。今までのカートリッジのインクで書いていた文字とは全く違う太さでたっぷりとインクを使って書ける。これが中字、Mニブなのかと感動した。もともとパイロットの色彩雫はインクフローが良く、出過ぎる傾向にあったが中字で書くにはこれくらいは欲しい。プラチナのカートリッジの渋さではボールペンと何ら変わらない書き心地だ。しかし「天色」を入れたプレピーは生まれ変わったような筆圧要らずの滑らかな書き心地を実現してくれる。これが中字かぁ、よしカスタム74の中字を買い足そう。と決意した。
おわりに
 プレピーとの出会いはこんな風だった。プレピーは価格の面でも購入しやすく、ニブのサイズもEF・F・Mと3種類用意されている。何よりも心強いのが同じプラチナの高級万年筆にも採用されているスリップシール機構だと言う事だ。スリップシール機構とはインクカートリッジを差し込んで1年経ってもインクが乾かない機構で安心して使う事ができる。また安価なので気軽に手に入れられるのでインクと紙の発色やにじみの具合を確認したりニブのサイズを試したりするのにも都合が良い。カートリッジの色も豊富で何度でも交換して長く利用できる。頼もしくリーズナブルな万年筆だ。
See you tomorrow!

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