このわた

書いて字の如く このわたは ナマコのはらわた つまり腸のことです ナマコ自体不得意な人が多いのに僕はそのはらわたが大好きでしたでしたと過去形なのには理由があるのですが また後で書きます ナマコは十一月頃から冬の間繁殖期で卵巣精巣が成長して内蔵がたくさんあるように見えるそうです その卵巣を干したものがクチコと言いカラスミ ウニと並んで日本の三大珍味と言われていますそして腸 消化管は中の泥を掃除して塩漬けした物がコノワタです
毎年 年末になると友人知人がコノワタを持って来てくれますみんな僕がコノワタを大好きな事を知っているので旅行の土産であったり魚市場に買出しに出かけたついでに買って来てくれるのですコノワタは写真の様な小さな瓶詰になって売られています なんだか沢山入っている様に見えますが実はこの瓶はとても厚く出来ていて内容量は極少量です瓶が厚い為レンズの効果で中身が多く見えるようです
だからコノワタを頂いた時は家族もいない時に一人でゆっくり楽しみます 個人的な趣味ですがコノワタは常温の日本酒にしか合いません ビール ワイン ウイスキー何れも駄目だと思います なかには温かいご飯の上に乗せて食べるという方もみえますが邪道です 勿体無い
僕の正しい楽しみ方は まず瓶の外からコノワタの色艶を確かめますコノワタにも一番二番ワタがあるそうで当然キレイな方が臭みも無いでしょう そして そっと蓋を開けて香りを楽しみます小さな瓶の中に神秘的な海が広がります そしていよいよ食す訳ですが無造作に摘んではいけません細い糸のような腸を丁寧に一本づつ良く味わって頂きます そして時折日本酒で口を撫でつつ
今年あった事をふり返るのです
酒をやめてしまった今 年末の独り忘年会はどういった趣向で執り行おうかと思案中です。。。
参考文献 「美味しんぼ」43巻

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