 笑うこと Reach for the sky 倉木麻衣

Reach for the golden ring
Reach for the sky
今すべて 受けとめて
陽の当たる丘で 軽く口笛を吹き
思いきりアハハと笑ってみようよ
Mai Kuraki

 このReach for the skyは倉木麻衣の2ndアルバムの3曲めにある。倉木麻衣も好きでよく聴くのだけれど初期のアルバムが特に好きだ。このPerfect Crimeや1stアルバムのdelicious wayの事だ。Reach for the skyはとても印象的で僕の中ではお気に入りの曲だ。2001年にリリースされたアルバムだから倉木麻衣が19歳の時の曲になる。歌詞は彼女自身が書いたらしいがとても大人っぽくて素敵な詩だ。この歌詞の中で「アハハと笑ってみようよ」の部分は文字で読むと歌詞全体の流れの中で異質な印象を受ける。何でアハハなのか。しかし曲を聴いてみて、あらためて歌詞を読み直してみるとやっぱりアハハでなくてはならないことが分かる。いままで思い悩んでいた事にけじめをつけて、昨日までの自分とお別れして君と一緒に明日を、golden ring もskyも手を伸ばして摑みとる。という強い意志が感じられるのだが、アハハの歌い方が絶妙で慎ましやかに女の子らしく上品なアハハなのだ、決して高笑いのアハハではない。この歌い方と歌詞で倉木麻衣が好きになった。
 さてコロナの影響で暗く沈んだ世の中も非常事態宣言が解除され厳しかった自粛生活も一旦緩和されて街にも笑顔が見られるようになってきた。しかし手放しで喜んでばかりもいられない。経済的にも生活環境そのものもすべてコロナの前の状態には戻る事は出来ないだろうし戻るだけでは今後も同じ事の繰り返しとなる。先行きが不安だし向うべき未来が想像し難いため進む方向に迷う。
 人は笑う動物だ。しかし迷ったり自信のない時には笑えない。心配事で頭がいっぱいの時にはどうしてもうつむき加減になって、しかめっ面になるものだ。そうすると自分自身ばかりでなく周囲の人たちも気を使って明るい表情がしにくくなる。こうなると悪循環で周りの人たちまでもネガティブになって物事がうまく運ばなくなるものだ。こんな時に先ずは笑ってみる。笑う事で心理的にも楽になり、だんだんポジテイブな考え方ができるようになる。ドイツではユーモアとは「〇〇にもかかわらず、笑うこと」だそうだ。本当のユーモアは人生の中で苦しいときに生まれるもので、自分が苦しんでいるのにもかかわらず、相手に対する思いやりとして笑いを示すということだそうだ。これが真に深みのあるユーモアで、こうすることで自分も周りもポジティブな考え方ができるようになるという事だ。しかめっ面している人には道を尋ねることさえ出来ないので、その時点で人とのコミュニケーションは取れないままになってしまう。しかしそんな時に相手に笑顔で接することができたら、それだけで相手を尊敬して愛情を持って接した事になる。そして自分も豊かな心になれる。このように笑うという事は人間に与えられた特権のひとつで大いに活用しなければならない。生真面目に難しい顔ばかりしていては周囲と良い関係が作れないばかりか良いアイデアも産み出せない。だから物事に向かうときには一度自分なりの目標や方法を考え納得した上で自信を持って笑顔であたれば自ずとチャンスは訪れるし周りも自然とフォローしてくれるようになる。そんな時の笑顔はアハハなのだ。間違ってもガハハでは無い。落ち着いた優しい、けれど自信に満ちたアハハなのだと思う。暗い場所で思いつめてはいけない、陽のあたる丘で思いきりアハハと笑ってみよう。
See you tomorrow!


Reach For The Sky

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