 古典インクの万年筆を使ってみる [ブルーブラック][プレピー]

f:id:tomi_kun:20210112230647j:plain
 万年筆を常用するようになってもうすぐ一年が経つ。万年筆は高価なのでいろいろ試す訳にはいかないがインクぐらいは興味のある色を試してみたい。などと言っている間にインクの瓶が2本、3本と増えていく。文字を書く機会なんて今時あまりない。万年筆を使いたいがために、わざわざ用を作って楽しんでいるだけだ。だからインクも減らない。
 万年筆のインクで、と言うか本来なら万年筆でしか使えない色のインクがある。ブルーブラックだ。万年筆用に作られたブルーブラックは古典インクと呼ばれ定義としては「タンニン酸あるいは没食子酸および鉄イオンを含む万年筆用インク」だそうだ。つまり第一鉄イオンを酸化させて黒い文字を表現している。酸化鉄溶剤は無色なので万年筆で書いても判別出来ないために青い色を染料として加えてある。だから古典インクは乾くにつれて色が青から黒に変化する。なかなかドラマチックなインクなのだ。古典インクは耐水性に優れており併せて耐光性にも優れ先に書いたように酸化して黒くなる性質のため色褪せもせず古来から公式文書に選ばれて使われてきている。
 万年筆のインクとしてメリットばかりの古典インク、ブルーブラックだがデメリットも当然ある。インクに色を付けるために強酸性の溶剤を使用しているために鉄を錆びさせてしまう。万年筆のペン先は鉄や金で出来ている。そのため古典インクを使うとペン先が腐食してしまって書けなくなる恐れがある。ここが気になって今までブルーブラック古典インクは使えなかった。書いた直後は青色で時間が経つほどに黒く変色していくインクなんてロマンチックではないか。しかしそのために高価な万年筆を犠牲にしていたのでは元も子もない。だから色ばかりブルーブラックに近い他社のインクを使っている。
 それではブルーブラックインクを使ってきた先人たちはペン先が腐食しないガラスペンやつけペンばかり使用して来たのかというとそうでもない。一般的に万年筆は毎日使ってペン先に溜まったインクを動かしてやる必要がある。酸性が強い古典インクでなくても同じだ。またインクを使いきったら乾燥する前に水洗いする。万年筆を使わないままで放置しない、長い間使わないなら水洗いして乾かして保管する。これらの万年筆を使う上での常識を守れば古典インクを使っても大丈夫だそうだ。
 1年間、万年筆を使って来てこういったルールが守られそうだと思った。今、古典インクが手に入ると言ったらペリカンとプラチナの2社くらいになった。ラミーもモンブランも古典インクではない。国産の万年筆メーカーが提供する唯一の古典インクが使えるということは幸せな事だ。ここは勇気を出して古典インクに挑戦してみる事にした。プラチナにブルーブラック60ml瓶がある。が、とりあえず試すならプレピー万年筆あたりでブルーブラックのカートリッジを差して様子をみようではないか。とっておきのカスタム74に古典インクを入れる勇気はまだない。

熟成の#3776《センチュリー》のスリップシール機構
回転ネジ式キャップで初めて耐久性を考慮した完全気密キャップ「スリップシール機構」を実用化する事により、プレピー万年筆 やプレジール万年筆のスナップ式に続き、実用化困難とされていた回転ネジ式キャップの高級万年筆でも完全気密を可能にしました。 (特許取得済 登録番号 第5637515号)

 安価でステンレスのペン先を採用しているプレピーだが「スリップシール機構」によって長期間、使用しなくてもペン先の乾燥を防いでくれる。少しでも古典インクに有利に働くだろう。プレピーのカートリッジには限られた色だけだが古典インクが採用されている。
See you tomorrow!

follow us in feedly