 金ペンと鉄ペンの書き味

万年筆を使い始めると金ペンに憧れる。金ペンというのは万年筆の先に付いているインクを紙に伝えて文字を書く部分(ペン先)の材質が金で出来ているもののことを言う。ペン先の材質には鉄とか金が使われ鉄はステンレススチール製で金には14金18金24金製がある。万年筆との出会いはパイロット万年筆のカクノだった。カクノのペン先はステンレスで字幅はEFを選んだので硬くてボールペンのように筆圧が必要だったが細かい文字を書くのには適していた。しかし万年筆らしい書き味を体験しようと思うとカクノの それも極細のペン先では無理だった。それではとプレピーの字幅がMつまり中字を試した。ある程度滑らかな書き心地になり筆圧もそれなりに要らなくなった。

万年筆に慣れてきてコンバータを使ってインク沼を覗いたりするようになると万年筆本体にも興味が増して初級者向きのカクノでなく一般的によく使われている万年筆が欲しくなる。ネットや雑誌で調べて好みに合いそうな万年筆を選んだ。それがパイロット万年筆のカスタム74だった。ペン先には金色のニブが付いていて初めての金ニブ 金ペンだった。さすがにこれまで使っていたステンレスのニブとは違って紙との接触抵抗が柔らかでインクフローも良く金ペンの実力を感じた。

プレピーの製造元であるプラチナ万年筆にキュリダスというノック式の万年筆がある。ノック式のボールペンのようにペン尻を指で押してやるとキャップを外さなくてもペン先がシャッターを開いて現れすぐに文字を書き出せる。この便利さの虜になってしまい愛用するパイロット万年筆のキャップレスまで揃えてしまった。キャップレス マットブラックは重めなのとペン先は字幅をFを選んだがキャップのある万年筆のFのペン先の形状よりもかなり細く小さいためか書き味が非常に滑らかで軽い。調べるとキャップレスのペン先は銀色だがロジウム仕上げの18金だった。これが18金ペンの書き味なのかと納得した。それまで気にもしなかったのだがカスタム74の金ニブのペン先は14金だった。そしてその書き味は18金の書き味とは明らかに違った。

f:id:tomi_kun:20211007120104j:plain

キャップレス万年筆の書き心地の良さは18金のペン先だけの理由ではなくペンの重量やバランスと真鍮の軸に塗られたマットな黒の塗装のせいでもある。このペンを使ってみてペン先の材質の良さは それがインクを伝えていく紙の性質を超えたところにあるんだと思った。もう1本正統なキャップのある18金万年筆が使ってみたくなった。

See you tomorrow!

follow us in feedly