 万年筆で書いた文字の色のこと [ブルーブラック]

いま万年筆を使って文字を書くために入れるインクの色で気に入っているのはブルーブラックです。それもプラチナ万年筆のブルーブラックが好きです。今日はインクの色について書いてみます。あくまでインクフローとか耐水性などの性能ではなく色の好みについてです。

ペンに使う色はボールペンの時からブルーブラックを使っていました。オリジナルがブラックの場合はリフィルでブルーブラックかそれに近いものに交換して使っていました。

初めての万年筆はパイロット万年筆のカクノでした。これも付属のインクカートリッジは黒色だと思いました。万年筆に興味を持った時からインクはカートリッジでなくコンバーターを使おうと決めていたのでペンと同時にコンバーターも注文していました。コンバーターを使えばインクの色ばかりでなくメーカーも自由に選べます。最初に揃えたインクはパイロットの色彩雫シリーズにある「月夜」でした。好きなブルーブラックに近い紺色で少し黄色を混ぜて柔らかさを与えたような色です。「月夜」というネーミングのとおり夜の闇の紺色に月の光の黄色を合わせた色です。一般的に人気のあるインクで安心して選べました。

万年筆を使い始めるとその種類にも興味が湧き万年筆も試したいしインクの色も試したくなります。カスタム74の2本目になるMニブには色彩雫の「紺碧」を思い切って入れました。「紺碧」は辞書を引くと   

こんぺき【紺碧】 深みのある濃い青色。「━の空」 大辞林 第三版  

とあります。ただの水色では無くもっと濃く吸い込まれそうな深い青色 南国の暑い季節の空の色 そんな真昼の空で真上に見える青い色が「紺碧」です。「月夜」の濃い闇の色とは対照的な色です。黒色でなく濃い紺色を万年筆のインクに使うだけでも目立ちたがりでふざけた印象がありますが「紺碧」に至っては硬い職業の人には思われないであろう心配はありましたが個人で楽しむには気分が向上して書きやすかった。

そんな「紺碧」を使い始めた季節が夏だったせいか気分は解放的になりとうとう天に達したかのように「天色」をコンバーターに入れるまでになりました。「天色」は青色とは呼びにくい青でそれは正に水色なのです。同じ空の色を連想させる「紺碧」の青さは紺色を混ぜた深い青色ですが「天色」の空色はもっと高く 深みよりも高さを感じる青色なのです。ポップな印象のある「天色」はプレピーのMニブに入れましたが長くは付き合えませんでした。

コンバーターは使うインクの色を自由に換えられるためにあるので何度か試行錯誤しました。現在はカスタム74に「月夜」と「松露」 プレピーに「冬柿」と「紺碧」をそれぞれコンバーターに入れて使っています。

キュリダス万年筆を手に入れました。この万年筆にはプラチナ万年筆のインクカートリッジのブルーブラックが付属していました。プラチナ万年筆のブルーブラックは国産唯一の古典インクで古典インクは従来より耐水性が高い反面 ドライアップやニブの腐食性が高く扱い難いインクとされていました。しかしプラチナ万年筆は密閉性の低いプレピーやキュリダスに標準で採用しています。プレピーはコンバーターを使っているので交換しましたがキュリダスはペンの構造上と使い勝手の良さを活かすためにもインクカートリッジのブルーブラックを使うことにしました。今までもプレピーに付属のブルーブラックを試した事もありましたがキュリダスの書き心地の良さのせいかインクの色も好みの色になりました。ありきたりの黒色インクでは物足らずブルーブラックに拘るようになったけれど本格的な古典インクまでは手を出せないでいました。また一般的に万年筆とインクのメーカーは同一にするのが望ましいとされています。

パイロットのキャップレス万年筆のインクもカートリッジにしています。色はパイロットのブルーブラックなのですが残念な事にプラチナ万年筆のブルーブラックとは明らかに違うため迷っています。聞くところによるとパイロットのキャップレスには古典インクは不向きだとあります。万年筆の構造上社外品の特に古典インクは避けた方が良さそうなので我慢しますがパイロット万年筆の色彩雫シリーズにプラチナ万年筆のブルーブラックに似た色があればコンバーターで使ってもみたいです。

万年筆のインクの色は男の着るスーツの色に似ています。黒やグレイを選べば相手に硬くて実直な印象を与えるだろうし茶系のスーツなら ややカントリーな趣味を大切にするイメージがします。ブルーブラックのスーツはどうだろう。黒やグレイよりも若くてシャープな印象を受けないだろうか。書いた文字にだって個性はあります。「字は体を表す」という言葉もあるくらいなので文字の色にも拘ってもいいと思います。

See you tomorrow!

  

follow us in feedly