はじめてのノック式万年筆キュリダス [後編]
万年筆の梱包がタイトでしっかりしているのは製品の精度の確かさが感じられて好ましい。早く使ってみたいのでキュリダスを急いで取り出した。インクカートリッジはブルーブラックが1本付属していた。キュリダスについては詳しく調べていなかったのでコンバーターは使わずにカートリッジを使うつもりだ。普通の万年筆と同じようにカートリッジを取り付けて、すぐに使用開始出来るつもりでキュリダスの軸を外して取り付けようと思ったが入らない。パイプのような部品があってカートリッジと径が似た太さなので入るわけがない。仕方なく箱の下にしまってあった説明書を見ることにした。するとキュリダス本体の分解の仕方とカートリッジの取り付け方が書いてあった。そうかキュリダスはカートリッジを取り付けるだけでもキュリダス本体をすべて分解する必要があったのか。説明書を見ながら分解した。説明書が分かりやすいのとこういった作業は嫌いではないので苦労することもなくカートリッジが取り付けできた。
さて、はじめてのノック式万年筆の試し書きだ。が、なかなかカートリッジのインクがペン先まで降りてこない。何度かペンを振ってみたりもう一度分解してカートリッジの入り具合を確認したが書けない。カートリッジの中のボールがコロコロと音を立てているので間違いない。どうだろう10分くらい待っただろうか、やっとインクが降りてきて書くことが出来た。
キュリダスのペン尻の妙に大きくて長い無骨なノックを軸に押し込んでペン先を出現させた。押し込む長さは3cmもあるが重くはなく、かといって軽過ぎもせず確実な操作感ではある。ロディアに書いてみたが思ったよりも硬くて字が細い。プレピーのFニブでブルーブラックのカートリッジで書くとかなり細いのでMニブでもオリジナルのブルーブラックのカートリッジを使って書くとこんなものなのだろう。今まで使っているプレピーのMニブにはパイロットの色彩雫をコンバーターで入れているのでインクが潤沢に出る。全く異なった印象だった。ペン先の硬さは鉄ニブらしいカリカリと尖った印象で紙の上を舐めるような感覚はない。
結果的にはMニブを選んで正解だった。実際に書いてみるとキュリダスのMニブとカートリッジのブルーブラックの組み合わせで書かれた文字は、パイロットのカスタム74のFニブに色彩雫を使って書いた文字と同じくらいかややにじみが少ない分小さく細く書ける。ボールペンの代わりとして使うのならちょうどよい字面だ。キュリダスの重さは24gでカスタム74と同じだがカラーがスケルトンのためなのとキャップをペン尻に付けない分バランスがペン先に偏るため軽く感じるのと細かい字が書きやすい。ペン先に付いているクリップだが、取り外すための部品が付属しているが邪魔になることはなく持ち運びには必要になるのでそのままが良い。
万年筆は何本も購入したが購入したその日にこれだけ長い時間使って、たくさんの文字を書いた万年筆ははじめてだ。物珍しさがあるためだろうが何処にでも持ち歩いて書こうと思えばノックするだけですぐに書ける。それも大好きな万年筆を使って書くことが出来る。たぶん、この先手持ちの万年筆の中で一番活躍するのはキュリダスになるだろうと思われる。
See you tomorrow!