はじめてのノック式万年筆キュリダス [前編]
万年筆が好きになった。使いだして1年経って本数も増えた。そんなに高価な万年筆は買えないのでお気に入りはパイロット社のカスタム74のMニブとFニブだ。あとはプラチナ社のプレピーが数本ある。万年筆は毎日少しでも使わないとインクが出なくなって書けなくなってしまうそうだ。欲を言ったら月に一度は分解して水洗いの清掃まで必要だそうだがさすがにそこまではしていない。だから毎日使える万年筆だけにして他の万年筆は手放した。しかしプラチナ社のプレピーは特殊なキャップ構造になっていて1年間使わなくても支障のない構造になっているので手元に置いている。またプレピーは安価なので何かあっても損害は少ない事もある。
万年筆は好きだがメモ書きなどで頻繁に書いたり休んだりするには、キャップを外したり閉めたりするのが面倒になる。そのため普段のメモなどにはボールペンを使っている。万年筆は書こうと決めて、ある程度の文字数が見込めるときにしか使わない。日記や特別なノートを書くときだ。書く内容はともかく書く行為が好きなので書くことを探してでも万年筆を使っていたいくらいだ。
万年筆にもボールペンのようにノック式があることは知っていた。しかしあまりに安直に万年筆が使えてしまう安っぽさや品の無さに敬遠してきた。昨年に発表されたプラチナ社のキュリダス万年筆は価格の面でも魅力的ではあったが使う気にはなれなかった。しかし毎日万年筆を使って書くことを趣味のようにしていると、だんだん普段使いのペンも万年筆が使ってみたくなる。万年筆の書き心地、書き味は本質的にボールペンとは別物なのだ。
キュリダス万年筆は鉄ニブだが正真正銘の万年筆だ。しかもパイロット社の金ニブのキャップレス万年筆に比べたら半額程度で手に入る。ボールペンの代わりになるかどうかを試してみるのにも負担は小さくて済む。安価な万年筆といえばプレピーだが品質には問題はないし個人的にはカクノ万年筆よりもコスパの点でも優れていると思っている。キュリダス万年筆の使い方や使い心地などを試してみることにした。たぶん気に入っても万年筆を使って書くというスタイル、軸からキャップをネジを回しながらゆっくりと外してペンのご機嫌、インクフローであったりニブの柔らかさや滑らかさを想像しながら・・・は変わらないので、あくまでもボールペンの代わり以上になることはない。
迷ったけれどやっぱり、いつも万年筆を使っていたいという欲求に負けてノック式、キャップレス万年筆を使ってみることにした。パイロット社の金ニブは我慢してキュリダスに決めた。試し書きもなしにぶっつけ本番なのとノック式万年筆の用途や使い方が雑な扱いになることが予想されるので安いほうが気が楽だ。文具店に電話をしたら何本かは在庫があるという。目当てはFニブのスケルトンタイプだったが店にあるのはスケルトンはEFニブとMニブで、Fニブで在庫にある中で近い色はグラファイトスモークだという。観て決めることにして店へ向かった。
店に向かう途中の車の中で手持ちのプレピーのMニブとFニブのことを考えた。どちらも色彩雫のインクが入っているので参考にはならないが、両方ともインクフローはすこぶる良い。オリジナルのインクカートリッジのブラックとブルーブラックの入ったFニブはかなりフローが渋い。そんな事を考えながら店について少し迷ったが無色のスケルトンタイプのMニブにした。用途がA5サイズのメモ帳で小さな手帳には使わないつもりなので書き味を優先してMニブにした。
家に帰って箱から出すのにまず驚いた。万年筆の入った箱が紙のケースに入っているのだがサイズがタイトできつくて取り出せないのだ。ちょうどAppleのiPhoneやiPadをケースから出すときのような、寸法に狂いがなくて余裕がないので真空になって開かないような状態だ。
今日はここまで・・・明日に続きます。
See you tomorrow!