包丁

魯山人料理王国
『序にかえて
簡単に言って、料理とは単に舌先だけで味わうものではなく、また弄ぶものでもない。
耳から、目から、鼻からと様々な感覚を動員して、美と味の調和を楽しむものだと思う。
 色どり、盛り方、取合わせ、材料の良否と、みな美と深い関連性をもって考慮されています。
 栄養の効果という点からも美は見逃せない役割を担っています。(中略)
 料理を心底から楽しむ人は、まず第一に、料理の風情に重きを置き、環境を楽しみ、大切にいたします。食道楽の楽は、ここに至って始めて一人前と言えます。食通とても同じことです。
 少し極端な言い方かも知れませんが、料理に美を求めない人は、当てがい扶持に満足する犬
猫の類と同じだと言っても差し支えないでしょう。
 人々にとって、もちろん楽しみの高さ低さは異なりましょう。従って、見解の相違もおのずから生じもしましょうが、なろうことなら、志を高くもって、料理を味わい、人間を高くしたいものです。(中略)     
北鎌倉の山荘にて  北大路魯山人    』
  文化出版局 魯山人の料理大国より

 
なんだか偏屈な爺のお説教みたいな文章で申し訳ありませんが 昔 料理に興味があった頃に
読みあさった本の中の一冊です 漫画美味しんぼ海原雄山のモデルにもなった魯山人はご存知のとおり篆刻家 画家 陶芸家 書道家といったいろんな分野で高名であり大変な美食家でもあったようです まぁ書いてある事は納得できるのですが そのままの食生活を送るのは不可能でしょう
晩年はあまり恵まれた暮らし向きではなかったようですし好物のタニシの食べ過ぎで肝臓ジストマとも呼ばれた寄生虫による肝硬変のため死去したとも言い伝えられています
さて彼の残した言葉の中に料理とは理(ことわり)をはかるということで ものの道理をはかることだというのです 料理も武道茶道華道などと同じだと言うんですね 実際に料理には順番や決まり事があってそのとおりにやらなければ失敗してしまいます 創作アレンジ料理にもちゃんと型があってそれを踏まえた上での挑戦だろうと思います 僕が料理に凝っていた頃ヒラメは高いのでカレイをたくさん買って来て五枚おろしの練習をしたことがあります やはりこれにもきちんとした順番がありそれを守らなければ完成しません もちろん清潔な厨房と良く手入れされた道具が用意してあるのは言うまでもありません 
 こうして料理をしてみるとあらゆる分野に共通していることが分かります スポーツにしても自動車の組み立てにしても銀行業務などにしてもまずは基本が大切だと思う訳です
もちろん絵画にしたってまったく同じで基本が出来ていないと行き詰まります。。。俺か!(笑)

follow us in feedly