 一本だけ万年筆を選ぶなら

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 一般的に万年筆は特別な筆記具と考えられている。そして取り扱いが面倒でおおかたはボールペンなど他の筆記具よりも高価だ。そのために万年筆は趣向性が強く選ぶのにも色々迷わされる。

 万年筆は使う際にその胴軸からキャップのネジを回して外し、外したキャップは胴軸の反対側に取り付ける。こういった一連の作業を儀式として行うのが当然で万年筆とは、そうあるべきであると思っていた。

 キュリダスという万年筆がある。プラチナ万年筆のノック式万年筆でキャップがない。だから前述のような儀式を省いてすぐに使う事が出来る。言うならば邪道な万年筆だ。だけれども日々の通常作業で万年筆を使う時に感じる違和感からボールペンのような仕組みで簡単に筆記が出来るキュリダスに興味があった。

 キュリダスを使ってみて万年筆に対する古い固定観念はなくなった。と言うよりも万年筆は こうあるべきだと思うようになった。そうしてキュリダスよりも以前からノック式万年筆の開発をして来ているパイロット万年筆のキャップレスが使ってみたくなった。パイロット万年筆のキャップレスは1963年に発表されておりマットブラックも2011年には発売されていた。

 キュリダスとキャップレスの違いはペン先の収納方法にもあるが使う上ではどちらも問題ないので省く。キュリダスの長さはペン先を収納した状態で153mm、筆記時は140mmとなりキャップレスは収納時、筆記時ともに140mmくらいになる。キュリダスはペン先を収納する構造上 ノック部分が長くなっている。軸径はキュリダスが13.8mmでキャップレスは12.8mmとなっている。重さは樹脂製のキュリダスは24gで真鍮製のキャップレス30gよりも軽い。万年筆の命でもあるペン先の材質はキュリダスはステンレス製でキャップレスは18金である。

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 キュリダスのデザインは後発のノック式万年筆らしく新しさは感じるが軸径が太めで寸胴な事とノック部分が長すぎる事で美しさには欠ける。キャップレスは収納時、筆記時ともに140mmに統一するというデザイン的な拘りやクリップと胴軸を一体化させ軸径をペン先方向とその逆方向へと絞り込んだデザインは美しい。書き心地はキャップレスの18金ペン先と30gの自重による滑らかさはカリカリしたステンレス製のペン先を持つキュリダスとは比較にならない。

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 万年筆を使ってみたい、仕事にもプライベートにも使ってみたいのならノック式万年筆をすすめる。それもキャップレスだ。 キュリダスも良いが長い間愛用し続けられる万年筆ならキャップレスになる。

See you tomorrow!

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